文学作品にみる食文化──夏目漱石と村上春樹のそれぞれの〈時代性〉
Journal
台大日本語文研究
Journal Issue
36
Pages
25-46
Date Issued
2018
Author(s)
Abstract
人類が生活を営む中で食事の内容や持て成しを含む食文化は最も重要な文化の一つであり、その民族、その国、その時代の文化を手早く、効果的に理解できるルートとも言えよう。漱石の成長期が丁度日本では近代化が始まったばかりの時代であるのに対して、80年程の歳月を隔てた村上春樹の方では西洋文化がしっかりと国民の生活に根付いた時期で、彼が文学創作を始めた頃には経済高度成長期に至っていた。そのようなそれぞれの時代背景のもとで、共に国民作家と称される夏目漱石と村上春樹の作品には如何なる食文化が語られているかは、〈時代性〉や文化研究にとっても大変意味深いことであろう。小稿では、両作家のそれぞれの時代性、その時代の食文化へのアプローチを主旨として、漱石の『草枕』や『虞美人草』、村上春樹の『風の歌を聴け』や『ノルウエイの森』を主な対象に、作品に織り込まれている食事の中身や持て成しの特徵やその持て成しの働き、またはキャラクター間の関係など左考察していく。そこから、食文化が如何に変わったか、継承されているものがあろうか、それらは社会の様相などの問題の解明にもつながるであろうと考える。
Type
journal article
