漱石作品の外来語表記に関する一考察-〈ランプ〉を中心に-
Journal
台大日本語文研究
Journal Issue
38
Pages
75-103
Date Issued
2019
Author(s)
Abstract
本稿は、特に漱石の小説における〈ランプ〉という外来語を取り上げ、漱石の作品における外来語の表記問題について考えてみるものである。まず、当時の辞書における「ランプ」の登録状況を調べ、当時の〈ランプ〉の受容とその翻訳語との関係を考察する。次に、『漱石新聞小説復刻全集』(ゆまに書房)及び『定本 漱石全集』(岩波書店)の両テキストを用いて漱石の小説における〈ランプ〉の表記を調査し、漱石の外来語(〈ランプ〉)に対する受容態度や表記意識、またそれと漱石の表現意図との関わりなどを分析する。考察した結果、両テキストにおける〈ランプ〉の表記種類は一番多いタイプが相違すると明らかになった。特に、『漱石新聞小説復刻全集』の場合では、漱石の後期小説になると、カタカナルビ付きランプの漢字表記「洋燈」一本化への収束現象というような表記原則の傾向が窺われた。なお、漱石が外来語〈ランプ〉に対して意味と音の両方をともに意識するという表記態度を持っていたことを確認できた。また、作品内容の特殊性や文脈による表現意図の違いによって漱石の〈ランプ〉に対する表記意識が異なることも明らかにした。
Type
journal article
